『シンプソンズのＴシャツと真っ赤なワンピース』

　私が出展している展覧会に友人のＴちゃんが来てくれることになりました。待ち合わせの場所に向かうと、シンプソンズがでかでかとプリントされたＴシャツを着たＴちゃんが私を待ち構えていました。私は真っ赤なコーデュロイのワンピースだったのですが、私達が並ぶと幾分人目を引く二人組になってしまいました。

　画廊へ行く前に、Ｔちゃんの強い希望で有名なカレー屋さんへ伺いました。開店三十分前なのに既に並んでいる人がいた上、私達の後ろにあっという間に行列ができました。カレーは本格的なインドカレーで、ココナッツ風味の鶏肉の一皿が美味しかったです。Ｔちゃんも満足したようでした。

　その後もアンティークショップや、雑貨屋さんをふらふらしながら、ようやく画廊に私達はたどり着きました。作家名のわからないようにしてある作品を見て気に入ったものに投票するシステムだったのですが、Ｔちゃんは一目散に私の作品を見つけ出してくれ後、全く違う作家さんに投票していました。無邪気なＴちゃんの姿は私を笑顔にしました。

　私達は沢山お喋りしましたが、まだ話題が残る感じで、時間がもっとあればいいのにと私は悔しく感じました。別れ際、Ｔちゃんが小さな手のひらを一生懸命振ってくれる姿に、なぜだかじんときてしまい、泣いてしまわないよう、慌てて私は立ち去りました。好奇心旺盛で心優しいＴちゃんは私の自慢の友達です。

＃エッセイ　＃ブログ　＃友達　＃カレー　＃画廊　＃展覧会　＃友情