トラの張り子に守られて
- stainedglasssumire
- 2022年2月25日
- 読了時間: 2分
更新日:2022年3月8日
大阪のビル街の中に突如現れる神社があります。小さいけれど、存在感のあるその場所は、少彦名神社と言い、別名「神農さん」として街の人々に親しまれています。神農さんは病気平癒の恩恵があることで有名です。その昔、コレラが流行った際、丸薬と張り子のトラを一緒に配布したところ、疫病が落ち着いたと言います。そのことから、神農さんでは、毎年秋にはトラの張り子が付いた笹、「神虎笹」が授けられるそうです。他の季節に伺っても、トラの張り子のお守りは頂くことができます。旧正月を迎えた頃、私は寅年にちなんで、こちらにお参りすることにしました。
神農さんを探すのに、私は少し苦労しました。本当に大きな建物ばかりある街中に神社があるからです。看板はあるものの、土地勘のない私は最初、思わず見逃してしまいそうになりました。けれども、見つけた神農さんは、くっきりとした存在感のある神社でした。入り口は二つあり、私はどちらから進もうかと迷いましたが、他の参拝客に倣い、入って右側から足を踏み入れました。細く短い道を抜けると、洞窟の奥のような場所に小さな本殿があり、私は緊張しながらお賽銭を入れ、お祈りしました。そして、本殿横にある社務所で目的のトラの張り子を買わせていただきました。
両手のひらに収まるほどの可愛らしい大きさのその張り子は、首がゆらゆらと動くものでした。表情もどこかおおらかで、昔ながらの良さを感じさせます。玄関かリビングに置くと良いと巫女さんが教えてくださったので、私はリビングの棚の上にトラの張り子を配置しました。日常生活を送る中で自然に目に入るトラの張り子は、私を静かに見守ってくれているように思えます。穏やかな一年になることを願いたいものです。


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